柔らかく響く家
WORKS

南に見晴らしよい郊外の住宅地に、ご夫婦とお子様二人の生活空間を計画しました。
1階は家族のパブリックな空間としてLDKを中心に配置。 リビング部分からは南側にご家族の趣味である楽器の演奏スペースがつながり、さらに大きな開口部を通してデッキと庭が連続しています。見晴らしの良い庭を満喫できるデッキには深い庇がかかり雨の日でも開放的な生活が可能です。 キッチン部分からは西にサービスコートがつながります。ここは光と風に溢れながらもプライバシーの守られた場所で、家事や趣味の日曜大工などを自由に楽しめます。
リビングに接して配された和室は、家族憩いの場所として、落ち着いた空間となっています 。 LDKの上部には吹き抜けがあり、2階につながります。 2階は家族のプライベート空間。吹き抜けとロフトのある広めの共用空間を中心に、それぞれの個室を配置。夫婦の主寝室は吹き抜けにも面しており、ここからは家全体を感じることができます。
このように一体でありながら各部分につながる空間構成によって、常に家族みんなを感じながらも個人それぞれの居場所がある家となっています。 また,この流れるような空間構成は、OMソーラーや薪ストーブによる空気の流れと一致し、快適な温熱環境を作りだします。 構造材は熊野の杉材を使用し、漆喰塗りの壁などの自然素材に囲まれた仕上げは、肌ざわりの良さとともに、気持ちのよい空気環境を作ります。 家の中心には大きな大黒柱を立て、木にこだわった家づくりを象徴しています。

物件概要

場所/兵庫県川西市
設計/山本博工務店・ANT空間研究所 常山哲夫
棟梁/大内孝茂
現場監督/金澤正人

家づくりSTORY

2011年に竣工した住まい手さまのおうち。
南に見晴らしよい郊外の住宅地。少し高くなった敷地に建つ家です。家全体がゆるくつながり、OMソーラーと薪ストーブが家全体を心地よく包みます。

「ばんまい」を通じて知った山本博工務店01

家造りを考え始めてから、大手ハウスメーカーの住宅展示場へも行きましたが、全く良いとは思えませんでした。
そんな中、池田市自然食レストラン「ばんまい」さんに置いていた年間自作堂のお知らせを持ち帰ったことから、山本博工務店のことを知りました。 以前から建築関係の本は好きで読んでいましたので、OMソーラーを施工される工務店は良心的な仕事をされるなと感じていました。奥村昭雄さんの考え方は素晴らしいし、それに賛同されている工務店さんも素晴らしいなと思っていました。

でしゃばらないけれど自分を持っている01

家をつくる上で、こだわってもらったポイントは肩の力の抜けた感じの「でしゃばらないけど、自分を持っている」という家でした。私達自信も、そういう人間でありたいと思いながら日々を過ごしているので、私達の住む家もそうであってほしいなと思ったのです。山本博工務店の社長や設計の常山さんは、本当にこちらの身になって考えてくださったと思います。



設計が始まったころ、熊野市へ材木を見に連れて行ってもらいました。原木市場を案内してくれた池正製材所のご主人は職人気質の香りを漂わせ、私達は尊敬するばかりでした。奈良県吉野郡の家具屋「グリーンフォレスト」さんでも、材をたくさん見て、説明もしてもらい、手入れの方法も教えてもらいました。その道のプロは、素晴らしいなと素直に感動しました。「グリーンフォレスト」さんには、新しい家の合うダイニングテーブルを作っていただきました。

工事中のこと01

棟梁の大内さんをはじめ、若い大工さん達も生き生きとコツコツ仕事をこなされていて、建築中は活気がありました。
もともと住んでいた家のすぐ近くでの新築だったので、毎日経過を楽しみに見せてもらっていました。毎日見れたから工事中も何も心配にはなりませんでした。ただ、東日本大震災が起こった2011年3月11日はちょうど基礎工事中だったので、こんなスムーズ進んで、幸せなことでいいのか、と思ってしまいました。 でも、ご近所さんも完成を楽しみにしてくれていて、いつもの散歩道を少し変えて、家の前を通る方が増えました。

自然と一緒に過ごせる家01

リビングのソファに座ると、南の庭越しに外が見えます。
でも、ガラス戸を閉めておけば外からは見えないんです。だから夏場は網戸だけにして、すだれを吊って…とても気持ちいいです。そのソファでは私はギター、妻はキッチンでご飯作り、息子と娘はダイニングテーブルに座ってTVを見たりご飯を食べたり…輪にならなくても、同じ空間で過ごすことができています。1年目の夏はエアコンなしでも何とか過ごしました。風の通りが良く、障子の和紙や壁の漆喰や木材が湿気を吸っている気がして、以前の家とは比べ物にならない程過ごしやすいです。冬は、無垢の床板が温かくて、朝でも足が冷たいと思ったことはありませんでした。もし、もう一度家づくりできるとしても、今度はこうしたい、ということは今のところ見当たりません。それだけよ~く考えていただいた結果かもしれませんね。